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※再録のため、R18部をまとめて書き上げました。
 前回公開していた部分は木兎さん視点でしたが、赤葦視点に変更したので冒頭からまるっと変わってますww

 少しでもお楽しみ戴けましたら幸いです。(*´∀`)♪


* * *


 ベッドに向かい合って座り、仕切り直しのように舌を絡めるキスをしながらお互いの服を脱がせ合う。と言ってもふたりともTシャツとハーフパンツの部屋着だったので、全裸になるまでには一分とかからなかった。
 目の前の木兎の体に自然と手が伸びる。木兎の胸は赤葦の手の平でちょうど覆えるぐらいのふくらみがあって、それはもちろん女性の乳房のようにふわふわとした感触ではないが(尤も、赤葦は女性の乳房に触ったことはないのだが…)、少し力をこめれば指の腹を押し返してくるような適度な張りと柔らかさがあった。日本人にしては白いその皮膚の下に上質の筋肉が横たわっているのだ。筋肉の稜線を辿り視線と指先を胸から腹のほうへと下ろせば、見事なシックスパックにあたる。木兎は地味な筋トレが嫌いで、体を作るために特別ななにかをしているわけではないらしい。それでもこんなに美しい体になるのだから不公平というか……、日々地道な筋トレに励んでいても筋肉がつきにくくパワー不足が悩みの赤葦はそれが羨ましくて仕方ない。そして、逞しくて男らしい木兎の体が、羨ましくて妬ましいのと同じぐらい大好きだった。
 胸から腹へと撫で下ろした指先をヘソの辺りで止めて肌から離す。そこより下方の銀色の茂みや、すでに芯を持ち始めていた木兎の性器からは気まずく目を逸らした。

「もう触らないの?」

 揶揄いを含んだ声で訊かれる。「触りません」と答えて顔を背けたら、

「そう? でも俺はいっぱい触るよ?」

 と朗らかに宣言されて体をベッドに押し倒された。
 滑った感触が首筋を這い、ときおり肌を啄ばみながらゆっくり下へと移動していく。胸の粒にちゅっと吸いつかれ、尖らせた舌先で弾かれるたび、体が勝手にびくびくと跳ねて妙な声を漏らしそうになった。女でもあるまいし、男の胸にオマケのようについているものを弄られて反応するなんておかしいし恥ずかしい。唇を噛んで刺激に耐えていたら、指先で口元をとんとんと突かれた。

「コラあかあし、唇噛むな」
「だって……ヘンな声でます……」
「ヘンじゃないよ。赤葦のこういうときの声、聞きたい」

 俺にしか聞けない声、と宥めるように囁かれる。耳にかかった吐息と声が甘ったるい。

「ぼくとさんも……それ、やめてください……」
「ん?」
「そういう声。……なんか背中がぞわぞわする……」
「おまっ…!」

 なんとも言えないむず痒い刺激が背筋に走って擽ったいのだ…と訴えたら、焦ったように体を引かれて、次には呆れたような長い溜め息まで落とされた。なんだその反応。納得がいかない。

「あのな、これはわざと出してんじゃねえの。自然と出ちゃうの。『あかあしカワイイ好き~』って思いながら触ってるから。それとな、その『ぞわぞわ』っていうのは気持ちいいってことだから素直に感じてろ」
「……言動がいちいち慣れすぎてて腹立つんスけど」
「ひでーな! これでもすげー緊張してんだぞ?」
「うそばっかり」
「うそじゃねえよ。だってこんなに好きな相手を抱くの始めてだもん」
「…………」

 今までどれだけの相手とこんなことをして、どれだけこんなことを言ってきたんだろうか――、とか……。木兎の過去の相手に嫉妬するなんて馬鹿らしいし無駄だと頭ではわかっているのに、ドス黒く醜い感情は理屈抜きで腹の底から湧き上がってくる。それと同時に、可愛いだとか好きだとか、女の子が喜びそうな歯の浮く台詞にいちいちトキメく自分も鬱陶しかった。

「赤葦はどこ触られるのがすき? どこ触られたい?」
「……初っ端から言葉責めとかハードル高いんスけど」
「いや、ちげーよ」
「じゃあぜんぶ。……ぼくとさんに触られるとこはどこでも気持ちいいですから」
「……あのなぁ」

 感情の起伏は激しいほうじゃなかったはずなのに、木兎の言動一つで気分が上がったり下がったりと忙しい。
 自分ばかりが翻弄されているのが悔しくて、つい、煽るようなことを言った。
 それをこのあと、赤葦はたっぷりと後悔させられることになる。



「あっ……も…、……しつ…こいっ……」

 ぜんぶ、なんて言ってしまったからか、木兎は手指、唇、舌のすべてを使って、赤葦の全身をくまなく愛撫した。赤葦が声を漏らしたり腰を跳ねさせたりと強く反応した部分は特に集中的に、舐めたり吸ったり甘噛みされて、じっくりしつこく攻められた。悪態をついても泣きを入れても木兎は止めてくれない。それどころか実に楽しそうに、身を捩って悶える赤葦を眺めている。

「これはしつこいんじゃねえの。丁寧って言うの」
「じゃ……、丁寧…しなくて……いい…から」
「乱暴なのがいい?」
「そ…じゃな…っ」

 初めて他人から与えられる性的刺激が強烈すぎるのだ。頭の芯が痺れてぼうっとする。体は敏感になりすぎているのか、木兎の吐息が肌を掠めるだけで腰が震えた。
 度の過ぎた快感を与えられると、気持ちがいいのか辛いのか判別がつかなくなる、と今日思い知った。
 でも、体のほうは快楽に正直で、赤葦の性器は硬く勃ち上がり、屹先からは期待の雫を溢れさせている。
 その状態を確認して、赤葦に覆い被さるようにしていた木兎が離れていく。シーツの上にくたりと体を横たえたまま、壁とベッドマットの隙間からローションらしきものを取り出した木兎をぼんやりと眺めた。「なんでそんなものがそこに?」と、突っ込む気力はとりあえずない。

「指、挿れてもいい?」

 直截な問い掛けに答える気にはなれず、立てた膝をおずおずと開く。
 両脚の隙間に木兎の膝が割り入ってくる。尻のあわいに滑りこんだ指が、奥に隠れたソコに触れる。他人に触れられることが皆無な場所に木兎が触れているという事実が、恥ずかしさと興奮を同時に連れてきて赤葦は混乱した。

「あの……、ぼくとさん……」

 心許ない気分になって、その気分の原因である木兎を呼ぶと、「あんまり煽るな」と意味のわからないことを言われた。気丈でクールを絵に描いたような男からの、縋るような声と視線がどれだけ木兎の劣情と嗜虐心を煽るのか、赤葦はあまり理解していないのだ。
 しばらく後孔の周りを撫でて遊んでいた木兎の指先が中に潜りこんでくる。ローションをたっぷりと纏わせた指が、ずぶずぶと赤葦の中に入っていく。
 おそらく一般の男子よりも太い自分の指が、たいした抵抗もなく埋まっていく感触に、途中で木兎は違和感を覚えたらしい。

「えーと、あかあし、もしかしてココ…、準備を――」

 言いかけた木兎の口を、赤葦は手で叩くように塞いだ。

「言わないでください……」

 風呂から部屋に戻った途端押し倒されて固まってしまったが、赤葦だって今日、木兎とこうなることを予想していたのだ。望んでいた、と言ってもいい。しかし期待に胸を膨らませる一方で、恐れていたこともあった。
 木兎が今までに抱いてきたのはすべて、柔らかくて、特になんの苦労もなく木兎を受け入れられる体を持った女性だ。いざ、男を抱くとなったときに、木兎は女の体との違いを強く実感するに違いないのだ。
 やっぱりおまえじゃ無理だと言われてしまったら――。
 それを平然と受け止められる自信が赤葦にはなかった。
 硬い男の体は今さら変えられないが、せめて余計な手間を木兎にかけさせずに済む方法はないかと考えに考えた結果がこれである。冷静沈着で、何事もだいたい〇・五秒で最適解を導き出す聡明な赤葦らしからぬポンコツぶりだ。……まあ、本人はいたって真剣だったわけだが。
 赤葦の手に口を塞がれたまま、木兎はじっと赤葦の顔を見ている。木兎の金色の瞳はいつも、木兎の内心を雄弁に語る。普段の赤葦なら今の木兎の思考も読めたかもしれないが、あいにくテンパったままだった。
 よくよく考えてみたら、「挿れられる準備は済ませてあります」というのもなかなかのドン引き事象かもしれない。

「あの……すみません」

 いささか乱暴な反応で赤くなってしまった木兎の口元を撫でる。なにを謝られているのかわかりません、という風に小首を傾げて、木兎はにかっと笑った。

「ありがと。でも次は俺にやらせろよ?」
「えっ?!」
「え、ってなに?」
「いや、だって…………萎えませんか?」

 赤葦の言葉に目を瞬かせたあと、木兎は赤葦の視線を誘導するように自分の股間へと視線を下ろした。

「これが萎えてるように見える?」
「見…えません……けど」

 開いた足の間に座り、手を赤葦の尻へ差し入れているという傍から見ればかなり倒錯的であろう状況でも、木兎の性器はかなり強烈にその存在を主張している。……デカい。

「一体なにしたらそんなになるんスか……」
「赤葦が自分で後ろを準備してるとことか想像したらヤバかった。めっちゃ興奮した。今度見せ――」
「見せません!」

 自分ひとりで準備しているときでさえSAN値の減りが激しかったのだ。それを木兎に見られながらするなんて、羞恥と屈辱で発狂するに決まっている。

「まあ、そっか。じゃあ、今日はちょっとだけ、な?」
「え、あ、はい……っ」

 改めて圧し掛かってきた木兎にキスをされて、口内に滑り込んできた舌が動き始めるのと同時に、赤葦の後孔に差し入れられていた指がさらに奥までぐっと進んだ。揃えた二本の指を中でくるりと回したり、そっと抜き差ししたり、少し開いてみたり、赤葦を傷つけないようにと気遣っているのがわかるやりかただ。挙動が大きく大雑把な木兎には似つかわしくなく、丁寧で優しい。
 肉厚の木兎の舌に口内の柔らかい粘膜を撫でられるのが擽ったいし気持ちいい。舌先をチュッと吸われて、鼻から甘ったるい吐息が漏れる。そちらの心地良さに浸っていられたらよかったのに……、下腹部に与えられる刺激のほうが強烈すぎた。自分で機械的にそこに触れているときはそれほど感じなかった圧迫感や、体内を弄られる奇妙な感触が、なんというか、本当に気持ち悪い。

「痛くない?」
「……今のところは……大丈夫です」

 痛みはないが、いろいろモロモロ、辛いです。とは言えずに虚ろな目で答える。

「えーと、前立腺? って腹側だよな?」
「……はい。性器の根元の…ちょうど裏側らしいです」
「んー」
「でも、そんなにすぐに、ソコで気持ちよくなったりはしないそうですよ」
「へえー」

 やっぱり要訓練&実践かー…と赤葦を震撼させるようなことを呟きながら、木兎は赤葦の内部を探るように指を蠢かせている。「今日はちょっとだけ」と言ったくせに。もう随分と長い時間後ろを弄られている気がする。
 内壁に触れられる気色の悪さにはだいぶ慣れてきて、疼くような痺れるような感覚が腰全体に広がっている。

「あのさ、ここ、他の場所よりちょっとふっくらしてんの」

 わかる? と、その部分を爪先で軽く引っ掻くように撫でられ、腰の奥に溜まっていた痺れに刺激がじんと響く。

「なんか……へんな感じです……」
「じゃあこれは?」

 グッと押すように擦られた瞬間、そこから電流のようなものが背筋に走って、赤葦の体がびくんと大きく跳ねた。

「あっ……、なに…っ…!」
「やっぱりここ、だよな。どう?」
「や、…わ…かんない……ですっ」

 木兎は前立腺を二本の指で挟むようにぐりぐりと揉みながら、指の挿入で萎えていた赤葦のペニスを扱いて同時に刺激した。赤葦の口からは、はっきりとした喘ぎが漏れる。

「あっ…ん、だめ……、そこ、同時に、しないで…っ」
「でもきもちよさそう」

 木兎の手から与えられる快感から逃れようと、赤葦は激しく身を捩った。シーツから浮き上がる体を強く押さえつけられる。

「やだ……っ、ぼ…くと…さんっ!」
「……あかあし」

 赤葦の乱れる姿に煽られたらしい木兎が、情欲に塗れた切羽つまった声で赤葦の名前を呼ぶ。

「なあ、俺もう挿れたい」
「だめ…っ……むり……っ…」
「おねがい、あかあし……、挿れさせて」

 言い終えるや否や、木兎は素早く赤葦の両脚を抱え、膝が腹につくような格好をさせた。あまりの格好に唖然としている間に、指とは入れ違いで、それとは比べ物にならないほどの質量のモノが中にぐっと押しこまれる。丹念に自分で準備したせいか、執着とも呼べそうなほどしつこかった木兎の愛撫のせいか、赤葦の後孔は悲鳴を上げつつも拒むことなく健気に木兎の猛りを飲みこんでいく。
 繋がった部分に木兎の下生えを感じ、自分の中に彼がすべておさまったことを知る。足を開き体を折り曲げられた格好も、内臓が押し上げられる圧迫感も酷くて奇妙な感覚だが、無事に受け入れることができたことに赤葦は心の底から安堵した。
 しかし。ホッとしていられたのも束の間で。
 耳元で木兎が「ヤバい」と不穏な一言を零したからだ。

「ごめん、あかあし……、動いていい?」

 いちおう許可を求めてはいるが、きっと、自分の思い通りにしてしまうのだろう。赤葦の中でいっぱいになっている木兎のペニスはどくどくと脈打って、余裕のなさを伝えてきている。
「はい」というかわりに、しがみつくように、赤葦は木兎の首に腕をまわした。

 抜けるぎりぎりまで腰を引いて、また奥まで戻る、そんなゆっくりとした抽挿だったのは始めのうちだけだった。赤葦の内部が木兎に馴染んだことを感じ取った木兎は、早速、好きなように腰を振って赤葦を翻弄した。

「あっ、あ、……んっ、ん…っ」

 揺さぶられるままに声を上げ、木兎から与えられる快感を必死に受け止める。少し前に見つけられた中の気持ちいい場所を木兎のもので強く擦られ、びくびくと体が跳ねた。頭の中が真っ白になって、瞼の裏に光が弾ける。

「ひっ…あっ、ん……ああ……っ」
「あかあし……あかあし、きもちいい?」

 木兎の問いに応えるように、赤葦の内部がぐねぐねと収縮し、木兎のものに絡みついて扱く。木兎はさらに中を穿つ動きを激しくして赤葦を喘がせる。

「あ、あっ……んっ、ぼ…くとさ……あっ…」
「すきだよ、あかあし。だいすき」

 激しい抽挿は続けたまま、木兎が耳元で甘い言葉を何度も繰り返す。俺も、と伝えたいのに、赤葦の口からはもう意味のある言葉は出てこなかった。

「ん……あ…んっ……ああっ…!」

 木兎のもので最奥の敏感な部分を強く突かれて赤葦の熱が弾けた。収縮する赤葦の中で木兎のペニスが一層膨らみ、震える。内部にじわじわと広がる木兎の熱を感じながら、赤葦は霞む意識を手放した。





「赤葦って、俺のこと好きなんだよね?」

 ボトルの水を赤葦に手渡しながら、木兎が首を傾げた。
 恐らく、行為中に木兎から何度も与えられた「好き」に、赤葦が同じように返さなかったのを拗ねているのだ。
 返せない状態にさせてたのはアンタだろ、と先程までのアレコレを思い返し、顔を赤らめつつ胸中で悪態を吐く。好きでもない男とあんなことができるか! も加えて。
 ちゃんと付き合い始めてからこちら、赤葦の口から「好き」の言葉が出たのは確かに数えるほどだ。……が。
 木兎は期待を滲ませた瞳で赤葦からの「好き」を待っている。しかし素直にそれを口にしてしまうのは、ちょっとだけ癪だった。今まで散々待ったのは自分のほうなのだ。

「まあ、たぶん」

 たぶんてなに! と騒ぐ木兎を尻目に、布団の中に潜りこみながら赤葦は考える。
 さて、いつ、ちゃんと伝えようか。
「たぶん、好き」なのではなくて。
「たぶん、木兎さんが俺を好きな百万倍、俺は木兎さんが好きですよ」って。


恋になるまで待って Epilogue(R18部)/了


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